2018.07.03

ベンツW204 混合気リーンの改善

車両データ

車名:ベンツW204
年式:平成22年
走行距離:97,000㎞

状況確認

エンジンチェックランプが点灯しているということで入庫されました。
早速テスターで状況を見てみると、P2187とP0171が故障コードとして表示されています。
どちらも混合気が「リーン」状態という表示です。

エンジン内部ではガソリンそのものを燃料としているわけではありません。
ガソリンが液体の状態だと燃焼効率が悪いため、霧状にしたり気体にしたりしています。
加えて、ガソリンだけでは燃焼しないため空気を混合しています。
ガソリンと空気が「混合気」となって燃料となります。
「リーン」とは、ガソリンに対して空気の割合が多く、燃料が薄い状態を指しています。

リーンになっている原因を探っていきます。
テスターのライブデータを見てみると、エアマスの吸入空気量が基準値以下になっていることが分かりました。
エアマスやO2センサー自体の故障という可能性もありますが、一番多いのがエアマスから先でエアを吸ってしまっていること。
どこかでエア吸いを起こしていないか確認していきます。

最近の輸入車はパーツクリートなどを吸わせても回転数などがほぼ変わらないので、ライブデータでO2センサーや吸入空気量の変化などを見ながらエア吸いを判断していきます。

しかしいくら試しても数値は変わらず、エア吸いは無いようです。
そこで、エアマスとO2センサーの診断をBOSCHのテスターのトラブルシューティング機能を使って調べることにします。

手順に従い調べていくものの、これといったおかしいところがないため、やはりエア吸いがあることが疑われます。

以前「キャニスターパージバルブが不良で開きっぱなしになる」と聞いたことことを覚えていました。
外しやすいところにキャニスターパージバルブがあるので、外して点検してみることにします。

外して空気を通してみると、通常ならば電源OFFの状態であれば空気は流れるはずがないのに、このパージバルブは空気を通してしまうことが確認できました。
原因は、キャニスターパージバルブの故障であることが判明しました。

作業工程

キャニスターパージバルブを新品に交換します。
ちなみに、このキャニスターパージバルブとは、ガソリンタンクの蒸発したガスをある程度たまったら吸気側に送り、混合気に混ぜて燃焼させるための部品です。

新旧キャニスターパージバルブ

交換を終えたところで、テスターをつけてエンジンをかけ、ライブデータを確認すると吸入空気量が基準値に収まっています。

長距離の試乗もしてみましたが、チェックランプは点灯せず、無事作業完了。納車となりました。

同車種ユーザー様へのアドバイス

混合気がリーンになりエンジンチェックランプが点灯するということは、国産車・輸入車問わず非常によくあることです。
今回のようにキャニスターパージバルブの交換のみで症状が改善されればいいのですが、O2センサーやエアマスの交換になってしまう場合がありますので、そうならないためにも定期的な点検をお勧めします。