2017.11.15 スタッフブログ

エンジンオイルのこと知ってますか?

快適なカーライフを送るためには、ポイントがいくつかあります。
そのうちの一つに「エンジンオイル」があります。
一定期間が経ったり、長距離稼働したりしたら交換しなきゃいけない、というくらいのことは多くの方が認識されているかと思いますが、知れば知るほど奥が深く、車の性能や寿命と密接に関わっているものなんです。

カインズではお客さまの快適なカーライフのために、エンジンオイルの勉強にも手を抜きません。
私たちは「MOTUL」と代理店契約し、エンジンオイルの基礎から応用まで知識を得るために「MOTUL EXPERT」という認定資格を取得しています。
お客さまのお車に最適なエンジンオイルを提案できるよう、日々情報収集に取り組んでいます。

今回はそんなエンジンオイルについて、役割や選び方などを紹介していきます。
カインズのお客さまは、エンジンオイルの重要性を認識されている方が多いのですが、一般的には「街乗りだったらなんでもいいんでしょ」という方がほとんどではないでしょうか。
そんな方にこそ知っていただきたいことがありますので、少しお付き合いください。

専門的な情報も含まれてきますので、3回に分けて紹介していきます。
第一回目の今回は「エンジンオイルの役割・劣化と交換について」
続いて第二回は「エンジンオイルの選び方(基本編)」
第三回は「エンジンオイルの選び方(応用編)」と、徐々に専門的な内容に進めていきたいと思います。

エンジンオイルの役割

エンジンオイルは「潤滑油」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、それだけではなく実に様々な役割を果たしています。
いくつか挙げてみましょう。

1.潤滑作用
2.密封作用
3.応力分散作用
4.冷却作用
5.清浄分散作用
6.防錆作用

ちょっと字面だけではどんな役割なのか分かりづらいかと思いますので、それぞれ簡単に紹介していきます

1.潤滑作用

これが一般的に知られている役割ではないでしょうか。
車のエンジンはさまざまな部品で構成されていますが、それら金属部品が動く際にどうしてもこすれ合う状態になります。
その際の摩擦や摩耗を軽減する役割が「潤滑作用」です。
潤滑作用が働かないと、金属同士が傷つけあって寿命が縮まったり、出力を低下させて燃費が悪くなったりします。

2.密封作用

エンジンの燃焼室で燃やされた燃料は、ものすごい勢いで膨張します。
その勢いでエンジンのピストンを動かし、動力を生み出します。
この時に燃焼室内の密閉度が高いほど、動力のロスを防ぐことができるのです。
シリンダーとピストンの間から圧縮ガスが漏れないように、エンジンオイルが油膜で密封してくれるのです。

3.応力分散作用

普段聞きなれない単語が使われているため、イメージしにくいかもしれません。
応力とは、1㎟あたりにかかる負荷のことだとイメージしてください。
エンジン内で金属同士がこすれ合ったりぶつかりあったりする際に、局所的に衝撃が加わることで摩耗や損傷につながります。
この状態が「応力が高い」状態です。
エンジンオイルが油膜を張ることで、金属の凹凸にオイルが入り込み、点を面に変えることで、局所的に応力が高まることを防ぎ、部品の損傷を防いでくれているのです。

4.冷却作用

高温にさらされるエンジンを冷却する役割は「冷却水」をイメージされる方が多いかもしれません。
ただし、エンジンの構造上冷却水を循環させられない箇所は多いため、冷却水だけでは不十分です。
エンジンオイルはピストン、シリンダー、クランクシャフト、カムシャフト、バルブなどの金属部品に直接触れて、熱を吸収することができます。
この冷却作用が働かないと、オーバーヒートや焼き付きを引き起こしてしまいます。

5.清浄分散作用

エンジン内には、燃料が燃焼する際に様々な汚れが発生します。
これらを放っておくと、エンジンの寿命を縮めてしまうため、取り除く必要があります。
エンジンオイルはその汚れを洗い落とす清浄作用と、落とした汚れを溶かして抱え込む分散作用を持っています。
清浄分散作用が働かないと、エンジン内部が汚れ、エンジンの性能が十分に引き出せない状態になってしまいます。

6.防錆作用

燃焼の際に発生する水分、エンジン内外の温度差がもたらす結露から発生する水分など、エンジン内部には水分が発生する要因が存在します。
これらの水分が金属部品に錆びや腐食を発生させる原因となります。
錆びや腐食があると、出力の低下を引き起こし、エンジンの寿命を著しく縮めてしまいます。
エンジンオイルは、錆びなどの不純物を溶かしたり、金属自体に膜を形成して金属部分の錆びを防いだりしてくれます。

なぜエンジンオイルは交換しなければならないのか?

エンジンオイルを交換する理由は、エンジンオイルの性能が低下するため。

オイルの性能が低下する要因

1.エンジンオイル自体の酸化
・熱による酸化
・燃焼・未燃焼ガス、水分の混入による酸化
→粘度の上昇

2.添加剤の消耗
→粘度低下、機能低下

3.異物の混入
→粘度上昇、トラブル

以上の要因により、エンジンオイルは劣化し、エンジンの寿命を縮めてしまいます。
そして、普段の走行条件によっては、劣化を早めてしまうことがあります。
イメージ的には「レースなどの超高速走行」を続けることで劣化を早めるというのは想像がつきます。
逆に、「チョイ乗りや近所の買い物程度」の稼働も、実はエンジンオイルの劣化を早める要因となってしまうのです。
理由は、エンジンオイルが十分に温まらないことから、水分や燃料がエンジン内に溜まり、不純物や錆び、摩耗の原因になることがあるためです。
この、「長高速走行」と「チョイ乗り」は、どちらも「シビアコンディション」という走行条件に当てはまります。

エンジンオイル交換の目安

メーカーが推奨する使用距離と使用期間の目安を紹介します。
参考にしてみてください。

ノーマルコンディション
・NA車:15,000km(または12ヶ月)
・ターボ車:5,000km(または6ヶ月)

シビアコンディション
・NA車:7,500km(または6ヶ月)
・ターボ車:2,500km(または3ヶ月)

シビアコンディションで走行されている方は、ノーマルコンディションの半分が目安です。
「私は街乗りしかしないから平気」と考えている方ほど、エンジンに負担をかけて寿命を縮めているかもしれません。
ご注意くださいね。

症状で見る交換ポイント

エンジンオイルが劣化すると、いくつかの症状が見られます。
交換のタイミングの兆候として注意してみてください。

  • オイル警告灯が点灯・点滅
    →オイルの量が少ない・粘度の低下
  • エンジン音が大きくなった
    →オイルフィルターの詰まり・粘度の低下
  • 水温計が高めを示している
    →オイルの量が少ない
  • アイドリングが不調になった
    →オイルの量が少ない・劣化によるオイルの性能低下

いずれの症状も、早急に点検してオイル補充・交換されることをお勧めいたします。

それでは次回、第二回目は「エンジンオイルの選び方(基本編)」をお送りします。